命がけの電気はいらない 東海第二原発運転差し止め控訴審へ
首都圏唯一の原発が茨城県東海村にあるのをご存知でしょうか。原発専業の日本原子力発電が運営する東海第二原発です。日本初の商業用原発が東海原発。東海第二は廃炉が決まった東海原発に続いて1978年11月に運転を開始した古い原発の一つです。東海第二の運転差し止めを求めて、茨城県の住民が原電を相手取って裁判をたたかっています。現在、東京高等裁判所で審理中。クリスマスの日が5回目の口頭弁論。私も東京高裁に駆けつけました。
「被告、日本原電は東海第二発電所の原子炉を運転してはならない」−。水戸地方裁判所が運転差し止めを言い渡したのは一昨年3月。過酷事故時に住民が避難できる体制がととのっていない、というのが理由です。福島のような過酷事故を想定して、原発の周辺30キロ圏内にある自治体は避難経路などを示した「避難計画」をつくることになっていますが、東海第二の場合は水戸市など14自治体があてはまり「策定済み」が8自治体。いずれも避難車両の確保をはじめ、能登半島地震で明らかになったように道路寸断などの複合災害を想定しておらず、有効に機能するとは言えないものです。水戸地裁は「避難できない」という一点で画期的な原発の運転差し止めを命じました。
この日の口頭弁論で住民側は、原発事故の防止に最善・最大の努力を求めている原子力災害対策特別措置法に照らして、原子力災害が起こる見込みを軽視してはならないこと、避難時に車両が殺到し深刻な交通渋滞を招くことなどを示して、避難は成り立たないことなどを主張。代理人のプレゼンでは、一部が5キロ圏に入る日立市民が避難する場合、主要道路の渋滞ばかりか、放射性物質の付着を調べる検査で常磐道で最大47日間もの時間がかかるとも。避難時の混乱は容易に想像がつきます。
茨城県はじめ首都圏で廃炉を求める運動が粘り強く続いています。福島原発事故などなかったかのように、原発回帰・最大限活用に大きく舵を切った自民党政権。「命がけの電気はいらない」の声を大きく広げ、裁判とも連帯しながら原発ゼロを訴えていきます。